オーバーツーリズムの課題やライドシェアを活用した対策について

コロナが収束してから世界中で旅行を楽しむ人が急増しました。その結果、世界中でオーバーツーリズムが問題となっています。日本も例外ではありません。人気の観光スポットでは度々オーバーツーリズムに関する問題が取沙汰されています。

本記事ではオーバーツーリズムの問題や影響と、解決策のひとつとしてなぜライドシェアが有効なのかお伝えいたします。

オーバーツーリズムとは

オーバーツーリズム(Overtourism)は、「Over(許容範囲を超えた)」と「Tourism(観光)」を組み合わせた造語です。

オーバーツーリズムの意味は、観光地の受け入れ能力を超えた訪問により、発生する様々な問題点のことです。特に観光地の公共インフラに対する過度な負荷がかかるなどのリスクを示すことが多いです。

オーバーツーリズムの主な問題

オーバーツーリズムは、コロナが収束してから世界的に問題となっており、日本でも観光客数の増加によって、環境や地域住民の暮らしなどに影響が出て問題となっています。具体的には、騒音、無断駐車、ごみの不法投棄、立ち入り禁止区域への侵入、違法民泊、文化財の損傷などのマナーに関する問題と、交通渋滞や混雑といった移動環境の問題があります。

マナーに関する問題の影響について

マナーに関する問題が深刻化すると、景観が損なわれ観光地としての価値がなくなっていきます。価値が減ると観光客が減少していきます。観光客が減少すると地元観光業の経済的損失が大きくなります。政府や地方自治体は観光客を受け入れるための工夫を今まで以上に行わなければなりません。

移動環境に関する問題の影響について

オーバーツーリズムによって交通渋滞や混雑が発生すると、地域住民が普段使っている公共交通機関が利用できないなどの生活環境が悪化する可能性があります。また観光客がスムーズに移動できないと、観光地で楽しむ時間が減ります。観光地で楽しむ時間が減るということは経済的損失が発生する可能性があります。楽しい体験が提供できなくなると、観光地としての価値が下がり観光客減少につながっていきます。

オーバーツーリズム問題の具体的事例

沖縄県

沖縄県は、コロナが収束してから観光客数が急激に増加しています。しかし、オーバーツーリズムによって、空港や二次交通の混雑、レンタカー事故、商業施設の混雑、一部の民泊業者や利用者による騒音やゴミ問題、観光客によるマナー違反などが報告されています。前述したとおり、観光資源価値の低下や地域経済への悪影響も懸念されています。宮古島では、観光客の増加によって以下のような問題が発生しています。

交通渋滞: 観光客の増加により、バスやタクシーの二次交通不足が生じています。また、レンタカーの交通事故も増加しています。
ビーチの環境悪化: 観光客が増加することで、ビーチにゴミが散乱するようになりました。また、ライフセイバーの不足により、水難事故が多発しています。
工事現場の増加: 島内には多くの工事現場があり、大型トラックやミキサー車、クレーンなどが走り回っています。工事車両の通行により、市街地エリアの生活圏や、観光客がよく通る島の一周道路でも目立ちます。
観光地立ち入り禁止: 観光客の急増により、立ち入り禁止になった観光地もあります。例えば、下地島空港の滑走路外周道路沿いの海「17エンド」は、浮輪で浮いていた観光客が潮に流される事故が発生したことで、車両での通行が禁止されました。

北海道

北海道でも、札幌市中心部、美瑛町の「パッチワークの丘」、ニセコなどでオーバーツーリズムが問題視されています。

美瑛町の「パッチワークの丘」は、美しい景色が広がる農地で、輪作による色とりどりの畑がパッチワークのように広がっています。この絶景を求めて年間約160万人の観光客が訪れる美瑛町ですが、近年は観光客が農地を踏み荒らすなどのマナー違反が増加し、深刻な問題になっています。観光客が農地に入り込む原因のひとつは、SNSなどで多くのフォロワーを持つ「インフルエンサー」だということです。彼らが無断で撮影したとみられる写真をマネしようと、同じ風景を探して農地に入り込む観光客が増えているそうです。また、観光客の靴についた病原菌や害虫が農地に持ち込まれると、一気に感染が広がって甚大な被害をもたらす危険があります。

ニセコは、世界的に有名なスキーリゾート地です。ここでも観光客の増加によって様々な問題が発生しています。

物価・家賃の高騰: ニセコの物価や家賃が高騰しており、地元住民にとって住みづらい状況になっています。
外国資本の過度な流入、地元経済やコミュニティとの関係希薄に: 外国人観光客の増加に伴い、外国資本が流入し、地元経済やコミュニティとの関係が希薄になっています。

東京

東京において、オーバーツーリズムによって発生している問題は以下の通りです。

観光地の混雑: 外国人観光客が多く訪れる観光地は、混雑が激しくなっています。例えば、浅草寺や東京タワーなどが挙げられます。
交通渋滞: 外国人観光客が多くなるとタクシーを利用する機会が増えます。それによって交通渋滞が発生することがあります。
宿泊施設不足と価格高騰: 外国人観光客が増加すると宿泊施設が不足します。需要が増えることによって宿泊料金も高騰していきます。

オーバーツーリズム問題への対策とライドシェア

オーバーツーリズム問題に対する解決策として、ライドシェアサービスは一つの有効な手段とされています。例えば、観光地へのアクセスが悪い場合、ライドシェアサービスを利用することで、交通渋滞を回避することができます。また、タクシーが不足している場合、ライドシェアサービスを利用することで、交通手段を確保することができます。現在日本でライドシェアは白タク扱いとなり法律で禁止されていますが、2023年の12月に行われた「デジタル行財政改革会議」にて2024年4月からタクシー会社が運営するライドシェアサービスが開始される予定となっています。2024年6月以降はアプリ事業者の参入も期待されます。

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ライドシェアとは

ライドシェアは自動車のシェアリング方法の1つです。ライドシェアは文字通り、Ride(乗る)をShare(共有)することを意味します。いわば「相乗り」と同じ意味です。一般的に「相乗り」というと、タクシーを利用する際に行き先が近い客同士がタクシーをシェアすることを思い浮かべると思いますが、最近流行りのライドシェアは、タクシーだけではなく一般の個人ドライバーとドライブをシェアすることも指します。

ライドシェアは、より多くの人が1台の車両を使って移動することで、燃料費、高速料金、運転のストレスなど、人々の移動コストを削減します。相乗りは、移動を共有することで大気汚染、二酸化炭素排出量、道路の渋滞、駐車スペースの必要性が軽減されるため、より環境に優しくなる側面もあります。

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日本型ライドシェアが2024年4月より運行開始

2023年12⽉20⽇に第3回デジタル⾏財政改⾰会議が実施されました。交通分野の成果の一つに、タクシー・ドライバーの確保のための規制緩和、地域の⾃家⽤⾞・ドライバー活⽤によるライドシェア(タクシー事業者の運⾏管理下での新たな仕組みの創設)、⾃家⽤有償旅客運送制度の改善、タクシー事業者以外の者が⾏うライドシェア事業に係る法律制度についての方針が決まりました。

対策方針

  • タクシー・ドライバー確保のための規制緩和(二種免許有無の緩和、地理試験の廃⽌など)
  • 供給を補うため地域の⾃家⽤⾞や⼀般ドライバーを活かしたライドシェアサービスを2024年4⽉から開始予定。タクシー事業者の運⾏管理の下で仕組化
  • ⾃家⽤有償旅客運送制度を2023年内から改善
  • タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を⾏うことを位置付ける法律制度について、2024年6⽉に向けて議論
  • 供給量増加に向けて、自動運転技術の活用を検討。⾃動運転レベル4の社会実装・事業化に必要な初期投資⽀援の予算措置を開始
  • ⾃動⾛⾏⾞両のルールの在り⽅を検討する場を2023年12⽉に設置
  • ⾃動運転の⾛⾏に係る審査に必要な⼿続きの透明性・公平性の確保策を検討するための関係省庁の枠組みを構築

なお、2024年4月8日より東京都で日本型ライドシェアの運行が開始されています。

まとめ

いかがでしたか?オーバーツーリズムの問題は複雑で、ライドシェアも解決策の一つにすぎません。日本の観光産業がより発展するためには大きな改革が必要と考えます。今後の政府や地方自治体の動きに注目です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。他の記事もぜひご覧ください!

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