長崎県で日本型ライドシェアサービスやデマンドタクシーは利用できるのか

観光需要が増えてきた昨今、タクシー等を活用したラストワンマイルのニーズが高まり供給不足に陥っているというニュースを見かけることが多くなりました。国内外から訪れた人をスムーズに目的地に誘導できなければ観光産業の機会損失につながります。

この問題には国も積極的な動きを見せて解決を試みています。その中で出てきた解決策の一つがライドシェアです。

本記事では、長崎県で日本型ライドシェアが利用可能かどうかについてと、各自治体が取り組んでいるデマンドタクシーの情報をご紹介いたします。

写真提供:©長崎県観光連盟

長崎県について

長崎県は、日本の九州地方に位置します。県庁所在地は長崎市で人口は約130万人です。カステラの消費量が全国第1位と言われています。

福島県の観光スポットに目を向けると、ハウステンボスなどのアミューズメント施設から原爆資料館や軍艦島など歴史的なスポットも多数あります。また、世界文化遺産に登録されている潜伏キリシタンにまつわるスポットもあります。

長崎県で全国的に有名な催しといえば、長崎ランタンフェスティバルです。長崎の冬を彩る一大風物詩で、約1万5千個にも及ぶ極彩色のランタンが長崎市内中心部を彩ります。

長崎県の市町村

長崎県には21の市町村があります。そのうち市は13(長崎市、佐世保市、島原市、諫早市、大村市、平戸市、松浦市、対馬市、壱岐市、五島市、西海市、雲仙市、南島原市)あります。

長崎県のご当地グルメ

長崎県は美味しいご当地グルメがあります。以下におすすめの10品を紹介します。

長崎ちゃんぽん

豚肉と長崎特有のはんぺん(紅白かまぼこ)、キャベツ、ネギ、モヤシといった野菜類、イカ、エビ、アサリやカキといった魚介類を具材に、麺を豚骨主体のスープでを加えて煮こむ料理です。

皿うどん

「太麺皿うどん(ちゃんぽん麺)」と「細麺皿うどん(ぱりぱりな麺)」があります。使う具材はほぼ同じですが、「太麺皿うどん」は炒めた麺をスープが残らなくなるまで調理し、「細麺皿うどん」は炒めた麺の上にあんかけをのせて調理する違いがあります。

角煮まん

ふわふわでほんのり甘いまんじゅう生地にトロトロの豚の角煮を挟んだ長崎の名物料理です。

卓袱料理

中国やオランダなどの外国と和食の文化が混ざり、誕生した料理です。豚の角煮やお刺身などが並びます。

五島うどん

長崎県五島列島で生産されているうどんで、 細麺ながらも強いコシを持ち、椿油を塗って熟成するのが特徴です。讃岐うどん・稲庭うどんと並び、「日本三大うどん」の1つとされています。

佐世保バーガー

長崎県佐世保市名物の手作りハンバーガーで、佐世保市内の店で提供される「手作りで」「注文に応じて作り始める」ハンバーガーを指します。

レモンステーキ

牛肉をすき焼き風に薄くスライスして鉄板で焼き上げ、焼きあがる直前にレモン果汁が入った醤油ベースのソースをかけて仕上げる和風のステーキです。

トルコライス

ピラフ、スパゲティ、トンカツが一皿に乗った、大人のお子様ランチとも呼ばれる料理です。

かんざらし

白玉粉で作った小さな団子を島原の湧水で冷やし、それに砂糖やハチミツで作ったソースをかけたスイーツです。

ミルクセーキ

長崎の「ミルクセーキ」はシャーベット状のスイーツを指します。

ライドシェアとは

ライドシェアは自動車のシェアリング方法の1つです。ライドシェアは文字通り、Ride(乗る)をShare(共有)することを意味します。いわば「相乗り」と同じ意味です。一般的に「相乗り」というと、タクシーを利用する際に行き先が近い客同士がタクシーをシェアすることを思い浮かべると思いますが、最近流行りのライドシェアは、タクシーだけではなく一般の個人ドライバーとドライブをシェアすることも指します。

ライドシェアは、より多くの人が1台の車両を使って移動することで、燃料費、高速料金、運転のストレスなど、人々の移動コストを削減します。相乗りは、移動を共有することで大気汚染、二酸化炭素排出量、道路の渋滞、駐車スペースの必要性が軽減されるため、より環境に優しくなる側面もあります。

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日本型ライドシェアが2024年4月より運行開始

2023年12⽉20⽇に第3回デジタル⾏財政改⾰会議が実施されました。交通分野の成果の一つに、タクシー・ドライバーの確保のための規制緩和、地域の⾃家⽤⾞・ドライバー活⽤によるライドシェア(タクシー事業者の運⾏管理下での新たな仕組みの創設)、⾃家⽤有償旅客運送制度の改善、タクシー事業者以外の者が⾏うライドシェア事業に係る法律制度についての方針が決まりました。

対策方針

  • タクシー・ドライバー確保のための規制緩和(二種免許有無の緩和、地理試験の廃⽌など)
  • 供給を補うため地域の⾃家⽤⾞や⼀般ドライバーを活かしたライドシェアサービスを2024年4⽉から開始予定。タクシー事業者の運⾏管理の下で仕組化
  • ⾃家⽤有償旅客運送制度を2023年内から改善
  • タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を⾏うことを位置付ける法律制度について、2024年6⽉に向けて議論
  • 供給量増加に向けて、自動運転技術の活用を検討。⾃動運転レベル4の社会実装・事業化に必要な初期投資⽀援の予算措置を開始
  • ⾃動⾛⾏⾞両のルールの在り⽅を検討する場を2023年12⽉に設置
  • ⾃動運転の⾛⾏に係る審査に必要な⼿続きの透明性・公平性の確保策を検討するための関係省庁の枠組みを構築

なお、2024年4月8日より東京都で日本型ライドシェアの運行が開始されています。

長崎県のライドシェア検討状況

日本型ライドシェアの運行

2024年4月時点で、長崎県では日本型ライドシェアの運行は行われておりません。

日本型ライドシェアの運行申請について

2024年3月29日の国土交通省の発表によると、政府の調査対象外エリアのライドシェアについては「簡便な方法により不足車両数を算出し、タクシー事業者に実施意向がある場合は、4月以降順次開始して良い」と記されています。簡便な算出方法とは、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌 5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域 内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」のような調査結果報告のことを指すようです。

上記に限らず、営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみなし、タクシー不足分を補うライドシェアの運行本数が決まるようです。ただし地域によっては適用外となる場合もあるので注意が必要です。

運輸局への申請については国土交通省のホームページに申請書が公開されました。必要事項を記入のうえ受理された場合に、該当エリアでのライドシェア運行が許可されます。なお、申請手続きは「ライドシェア事業を実施しようとする法人タクシー事業者が行う」とされています。

現時点でライドシェア事業を運行するためには、自治体の調査とタクシー事業者の協力が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。

長崎県は政府の調査対象エリア外に該当します。よって、上記の申請を行い、承認が下り次第県内でのライドシェア運行を開始することができます。

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自治体の取り組み

長崎県は自然豊かな場所がたくさんあります。そのため、車の利用が必要不可欠な地域が多く存在します。近年では、利便性を求めて人口が地方から都心部に集中する事象が発生しています。人口が流出してしまうと過疎化が進み、自治体の予算も逼迫することから公共事業の運営が厳しくなります。すると、公共交通にも影響を及ぼし、路線バスの運行終了など地域住民の移動手段がなくなってしまうこともあります。そのような状態を打開するために、各自治体ではさまざまな取り組みを行っております。いくつか事例をご紹介いたします。

長崎市:乗合タクシー

長崎市では一部の地域で乗合タクシーの運行が行われております。デマンドタクシーとは異なり、事前予約はNG、定員9名のジャンボタクシーを相乗りします。また、運行時間も決められており、所謂路線バスと同等の運行が行われます。詳しい情報は長崎市のホームページをご覧ください。

この場合、満員の場合は利用できないため、利用者にとって確実に利用できる保証がありません。また、運営側も利用者がいない場合でも運行することになるので、運営コスト面の効率化が図れない懸念もあります。

長崎市:デマンドタクシー「おでかけ応援 琴海号」

上記のように長崎市で乗合タクシーの運行がされている一方で、琴海区域ではデマンドタクシーの運行が行われております。利用対象者はホームページに記載がありませんでしたがおそらく該当エリア在住の方が対象と思われます。利用するには事前予約が必要で、自宅から指定された乗降場所まで移動することができます。予約は電話予約のみ受け付けています。詳しい情報は長崎市のホームページをご覧ください。

利用アンケートを確認したところ、該当地区在住の方の9割が利用していない、その理由は使う必要がないが64%という結果がありました。そして利用者のうち半数以上が高齢者という結果となっていました。この地域の移動手段に課題を抱えている人への解決策という形でデマンドタクシーを導入しているということであれば、半数以上が高齢者という結果には納得があります。高齢者に絞ってデマンドタクシーの認知度や利用意向度を測ると違った結果が見えてくるのではないでしょうか。

そしてサービス面では、自宅から目的地へ移動できる時間帯が午前の2便に絞られている点も使い勝手が悪いと感じます。全国で成功している自治体と比較する改善ポイントは色々あると考えられます。

新庄五島町:デマンドタクシー「SmartGOTO」

新庄五島町ではデマンドタクシー「SmartGOTO」の運行が行われています。利用対象者はホームページに記載がありませんでしたが、おそらく新庄五島町の町民が対象と思われます。利用するには事前予約が必要で、自宅から指定の乗降場所まで移動することができます。予約方法は電話予約か専用アプリからの予約を受け付けています。詳しい情報は新庄五島町のホームページをご覧ください。

このデマンドタクシーの導入に伴い、一部路線バスの運行を終了しました。これはデマンドバスと路線バスの利用者が重複しており、運行路線が重複するとサービス供給過多になるため一方を終了したと考えられます。加えてデマンドタクシーの方が予約管理によって利用者の把握が可能なので、運用コスト面を鑑みて路線バスを終了したと思われます。地域住民の特性に合わせて、新たな公共交通機関を提供しました。

長崎県で利用できるタクシー配車アプリ

最後に、長崎県で利用できるタクシー配車アプリについても抑えておきましょう。

Uber Taxi(ウーバータクシー)

グローバルでライドシェアサービスを展開しているUberでは、日本でUber Taxiのサービスを展開しています。

しかし、2024年5月時点で長崎県はUber Taxiのサービスを利用することができません。最新の情報はUberにて確認してください。

Go

GO(ゴー)は、約10万台のタクシーをネットワークするGOが2020年9月よりスタートしたタクシーアプリです。現在2,000万ダウンロードを突破しています。

長崎県は、長崎市 ※、佐世保市 ※、大村市 ※、諫早市 ※、西彼杵郡時津町 ※、西彼杵郡長与町 ※が対象エリアです。(※一部地域を除く)

現在、乗るたび500円クーポンがもらえる、「GOする!キャンペーン」の実施期間中です。初めて「GO」アプリにご登録、かつ対象エリアで利用すると、3ヶ月連続で乗車するたびに500円クーポンを月間3回まで受け取ることができます。クーポン利用には条件がありますので、詳細はキャンペーンクーポンご利用条件をご確認ください。


まとめ

いかがでしたか?2024年4月時点で長崎県では日本型ライドシェアの運行はされておりませんでした。しかし、過疎地域など地域住民の移動手段に課題を抱えている自治体はデマンドタクシーの運行などで解決を図っている状況が確認できました。

また、2024年4月から「簡便な方法により不足車両数を算出し、タクシー事業者に実施意向がある場合は、4月以降順次開始して良い」と国土交通省から発表がありました。長崎県で日本型ライドシェア事業を運行するためには、長崎県の自治体の調査とタクシー事業者の協力・申請が必要になります。ラストワンマイルの移動手段不足の課題解決にライドシェアが貢献するかどうか、注目していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。他の記事もぜひご覧ください!

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