和歌山県で日本型ライドシェアサービスやデマンドタクシーは利用できるのか

観光需要が増えてきた昨今、タクシー等を活用したラストワンマイルのニーズが高まり供給不足に陥っているというニュースを見かけることが多くなりました。国内外から訪れた人をスムーズに目的地に誘導できなければ観光産業の機会損失につながります。

この問題には国も積極的な動きを見せて解決を試みています。その中で出てきた解決策の一つがライドシェアです。

本記事では、和歌山県で日本型ライドシェアが利用可能かどうかについてと、各自治体が取り組んでいるデマンドタクシーの情報をご紹介いたします。

写真提供:公益社団法人 和歌山県観光連盟

和歌山県について

和歌山県は、日本の関西地方に位置します。県庁所在地は和歌山市で人口は約92万人です。みかんや梅が全国的に有名です。

和歌山県の観光スポットに目を向けると、熊野三山、高野山、吉野・大峯の三つの霊場とそこに至る参詣道をはじめとした景観が世界遺産に登録されています。

和歌山県の文化で全国的に有名な催しといえば、「和歌祭」「粉河祭」「田辺祭」の「紀州三大祭」です。毎年多くの観光客が訪れます。

和歌山県の市町村

和歌山県には30の市町村があります。そのうち市は9(和歌山市、海南市、橋本市、有田市、御坊市、田辺市、新宮市、紀の川市、岩出市)あります。

和歌山県のご当地グルメ

和歌山県は美味しいご当地グルメがあります。以下におすすめの品を紹介します。

めはりずし

塩で漬けた高菜で大きなおにぎりをくるんだもの。

クエ料理

特に冬場のクエ鍋は人気料理です。

熊野牛

和歌山県特産の高級和牛で焼いたときの香りの良さが魅力です。焼き肉やステーキ、ハンバーグで食べると美味しさがより引き立ちます。

生マグロ

勝浦地方のマグロは特に美味しいと言われています。マグロ丼や刺身でいただくと良いでしょう。

くじら料理

和歌山県熊野灘の沿岸地域では古くから捕鯨を行っています。近隣の地域に訪れた際はぜひ食べてみたい一品です。

精進料理

和歌山県の高野山の精進料理では「五味」「五色」「五法」という調理法が現在まで引き継がれています。見た目も美しく、しっかりした味付けの精進料理はおいしくいただけます。

和歌山ラーメン

具材はチャーシュー、メンマ、ネギなどが入っていますが、特にカマボコが特徴的と言われています。スープは醤油ベース、麺は細麺が多いです。

しらす丼

紀州湯浅の地域ではしらすが有名です。訪れた際はぜひ食べてみたい一品です。

ライドシェアとは

ライドシェアは自動車のシェアリング方法の1つです。ライドシェアは文字通り、Ride(乗る)をShare(共有)することを意味します。いわば「相乗り」と同じ意味です。一般的に「相乗り」というと、タクシーを利用する際に行き先が近い客同士がタクシーをシェアすることを思い浮かべると思いますが、最近流行りのライドシェアは、タクシーだけではなく一般の個人ドライバーとドライブをシェアすることも指します。

ライドシェアは、より多くの人が1台の車両を使って移動することで、燃料費、高速料金、運転のストレスなど、人々の移動コストを削減します。相乗りは、移動を共有することで大気汚染、二酸化炭素排出量、道路の渋滞、駐車スペースの必要性が軽減されるため、より環境に優しくなる側面もあります。

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日本型ライドシェアが2024年4月より運行開始

2023年12⽉20⽇に第3回デジタル⾏財政改⾰会議が実施されました。交通分野の成果の一つに、タクシー・ドライバーの確保のための規制緩和、地域の⾃家⽤⾞・ドライバー活⽤によるライドシェア(タクシー事業者の運⾏管理下での新たな仕組みの創設)、⾃家⽤有償旅客運送制度の改善、タクシー事業者以外の者が⾏うライドシェア事業に係る法律制度についての方針が決まりました。

対策方針

  • タクシー・ドライバー確保のための規制緩和(二種免許有無の緩和、地理試験の廃⽌など)
  • 供給を補うため地域の⾃家⽤⾞や⼀般ドライバーを活かしたライドシェアサービスを2024年4⽉から開始予定。タクシー事業者の運⾏管理の下で仕組化
  • ⾃家⽤有償旅客運送制度を2023年内から改善
  • タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を⾏うことを位置付ける法律制度について、2024年6⽉に向けて議論
  • 供給量増加に向けて、自動運転技術の活用を検討。⾃動運転レベル4の社会実装・事業化に必要な初期投資⽀援の予算措置を開始
  • ⾃動⾛⾏⾞両のルールの在り⽅を検討する場を2023年12⽉に設置
  • ⾃動運転の⾛⾏に係る審査に必要な⼿続きの透明性・公平性の確保策を検討するための関係省庁の枠組みを構築

なお、2024年4月8日より東京都で日本型ライドシェアの運行が開始されています。

和歌山県のライドシェア検討状況について

日本型ライドシェアの運行

2024年4月時点で、和歌山県では日本型ライドシェアの運行は行われておりません。

日本型ライドシェアの運行申請について

2024年3月29日の国土交通省の発表によると、政府の調査対象外エリアのライドシェアについては「簡便な方法により不足車両数を算出し、タクシー事業者に実施意向がある場合は、4月以降順次開始して良い」と記されています。簡便な算出方法とは、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌 5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域 内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」のような調査結果報告のことを指すようです。

上記に限らず、営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみなし、タクシー不足分を補うライドシェアの運行本数が決まるようです。ただし地域によっては適用外となる場合もあるので注意が必要です。

運輸局への申請については国土交通省のホームページに申請書が公開されました。必要事項を記入のうえ受理された場合に、該当エリアでのライドシェア運行が許可されます。なお、申請手続きは「ライドシェア事業を実施しようとする法人タクシー事業者が行う」とされています。

現時点でライドシェア事業を運行するためには、自治体の調査とタクシー事業者の協力が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。

和歌山県は政府の調査対象エリア外に該当します。よって、上記の申請を行い、承認が下り次第県内でのライドシェア運行を開始することができます。

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自治体の取り組み

和歌山県は自然豊かな場所がたくさんあります。そのため、車の利用が必要不可欠な地域が多く存在します。近年では、利便性を求めて人口が地方から都心部に集中する事象が発生しています。人口が流出してしまうと過疎化が進み、自治体の予算も逼迫することから公共事業の運営が厳しくなります。すると、公共交通にも影響を及ぼし、路線バスの運行終了など地域住民の移動手段がなくなってしまうこともあります。そのような状態を打開するために、各自治体ではさまざまな取り組みを行っております。いくつか事例をご紹介いたします。

和歌山市:デマンドタクシー

和歌山市の加太地区は、交通不便地域の中でも人口密度が低いため地域バスのニーズがなく運行できない地域です。そこで、住民が最寄りの駅やバス停までの移動手段を提供するためにデマンドタクシーの運行を行なっています。利用するためには事前予約が必須です。予約は電話予約のみ受け付けています。バスと同じ運行スタイルで指定の停留所の区間を移動することができます。詳しくは和歌山市のホームページをご覧ください。

令和4年度の利用実績を確認すると、利用者489人、稼働率4.9%、乗合率は1便あたり1.1人とのことです。稼働率としてはまだまだ伸び代がありそうです。稼働率が低い影響で乗合率も低くなっており、逆に貸切状態になりやすいメリットも現時点ではありそうです。

橋本市:デマンドタクシー

橋本市では、路線バスや鉄道が通っていない地域で公共の移動手段を提供するために、コミュニティバスの運行とデマンドタクシーの運行を行なっております。

デマンドタクシーは、どなたでも利用することができます。利用するには事前予約が必須です。予約方法は電話予約のみ受け付けています。バスと同じような運行スタイルで決まった時間に指定の停留所の区間を移動することができます。詳しい情報は橋本市のホームページをご覧ください。予約がない場合は運行自体行わないため、コミュニティバスとは異なり運行コストの最適化を図ることができます。

橋本市のデマンドタクシーは、コミュニティバスでは需要を受けきれない場合の補完として用意している、という立ち位置のように感じました。

紀の川市:デマンドタクシー

紀の川市では、バスの運行が困難な地域等に対して公共の移動手段を提供するために、デマンドタクシーの運行を行なっています。利用対象者は特にホームページに記載がないためどなたでも利用できると思われます。利用するには事前予約が必須です。予約方法は電話予約のみ受け付けています。バスと同じような運行スタイルで決まった時間に指定の停留所の区間を移動することができます。停留所は全部で9ヶ所あります。詳しい情報は紀の川市のホームページをご覧ください。

予約がない場合は運行自体行わないため、運行コストの最適化を図ることができます。午前2便、午後2便なので運行本数自体少なめです。気になる点としては、高齢者など日常生活の移動に課題を感じている方々へのサービス提供としては、停留所で乗降する必要があるため、利便性に問題があるのではと感じてしまいました。他の自治体ではドアtoドアのデマンドタクシーを運行している事例もあるので、利用者の満足度次第では、地域の特性を鑑みて、適切な運行方針が望まれます。

NearMe(ニアミー)を利用したライドシェア

NearMeは乗車地から空港へ移動するためのタクシーをライドシェアすることができるサービスです。※政府が推進している「日本型ライドシェア」とは異なります。

NearMe Airport:エアポートシャトル

最大9名まで乗ることができるライドシェア(相乗り)サービスです。乗車地から目的地(空港)までのルートをAIで分析し、利用者をピックアップするルートの最適化を行い、目的地に向かいます。
ドライバーはNearMeが提携している運行事業者が行います。

NearMe Limo:エアポート貸切リモ

最大9名まで乗ることができる貸切ハイヤー・タクシー配車サービスです。NearMe Airportとは異なり、荷物の追加料金は発生しません。乗車48時間前まではキャンセル無料です。ドライバーはNearMeが提携している運行事業者が行います。

和歌山県でNearMeを利用する

南紀白浜空港への行き来にNearMeを利用することができます。サービスはNearMe Airportを利用することができます。対象エリアは白浜町です。

参考までに、1週間後に大人2人子供2人で南紀白浜空港から白浜駅まで利用する場合の価格がどうなるのか見てみましょう。

料金は1540円となりました。この料金には早割(7日前予約)が適用された金額です。大人2人子供2人を単純に4人で移動したと考えると、一人当たりシェア乗りが400円程度で目的地にたどり着くことができそうです。なお、手配した車両にライドシェアする人が他にもいる場合は、シェア乗りの価格がもう少し安くなります。

気になる方はこちらからアプリをダウンロードしてみてください。[Sponsored]

和歌山県で利用できるタクシー配車アプリ

最後に、和歌山県で利用できるタクシー配車アプリについても抑えておきましょう。

Uber Taxi(ウーバータクシー)

グローバルでライドシェアサービスを展開しているUberでは、日本でUber Taxiのサービスを展開しています。

しかし、2024年5月時点で和歌山県はUber Taxiのサービスを利用することができません。最新の情報はUberにて確認してください。

Go

GO(ゴー)は、約10万台のタクシーをネットワークするGOが2020年9月よりスタートしたタクシーアプリです。現在2,000万ダウンロードを突破しています。

和歌山県は、和歌山市 ※、海南市、紀の川市、岩出市、田辺市、新宮市、海草郡紀美野町、伊都郡かつらぎ町、日高郡みなべ町、西牟婁郡白浜町、西牟婁郡上富田町、西牟婁郡すさみ町、東牟婁郡那智勝浦町、東牟婁郡太地町、東牟婁郡古座川町、東牟婁郡北山村、東牟婁郡串本町 ※が対象エリアです。(※一部地域を除く)

現在、乗るたび500円クーポンがもらえる、「GOする!キャンペーン」の実施期間中です。初めて「GO」アプリにご登録、かつ対象エリアで利用すると、3ヶ月連続で乗車するたびに500円クーポンを月間3回まで受け取ることができます。クーポン利用には条件がありますので、詳細はキャンペーンクーポンご利用条件をご確認ください。


まとめ

いかがでしたか?2024年4月時点で和歌山県では日本型ライドシェアの運行はされておりませんでした。しかし、過疎地域など地域住民の移動手段に課題を抱えている自治体はデマンドタクシーの運行などで解決を図っている状況が確認できました。和歌山県のデマンドタクシーの特徴としてはバスと同じ運行スタイルをとっている自治体が多い印象を持ちました。ドアtoドアのデマンドタクシーではないため利便性について利用者がどのように感じているのか気になるところです。

そして、2024年4月から「簡便な方法により不足車両数を算出し、タクシー事業者に実施意向がある場合は、4月以降順次開始して良い」と国土交通省から発表がありました。和歌山県で日本型ライドシェア事業を運行するためには、和歌山県の自治体の調査とタクシー事業者の協力・申請が必要になります。ラストワンマイルの移動手段不足の課題解決にライドシェアが貢献するかどうか、注目していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。他の記事もぜひご覧ください!

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