静岡県で日本型ライドシェアやデマンドタクシーは利用できるのか

観光需要が増えてきた昨今、タクシー等を活用したラストワンマイルのニーズが高まり供給不足に陥っているというニュースを見かけることが多くなりました。国内外から訪れた人をスムーズに目的地に誘導できなければ観光産業の機会損失につながります。

この問題には国も積極的な動きを見せて解決を試みています。その中で出てきた解決策の一つがライドシェアです。

本記事では、静岡県で日本型ライドシェアが利用可能かどうかについてと、各自治体が取り組んでいるデマンドタクシーの情報をご紹介いたします。

静岡県について

静岡県は、日本の中部地方に位置します。県庁所在地は静岡市で人口は約360万人です。お茶が全国的に有名です。

静岡県のシンボルといえば富士山です。富士山は日本最高峰で、その壮大な風景は訪れる人々を魅了します。世界遺産に認定されてから多くの人が登山にチャレンジしています。

観光スポットに目を向けると、有名な温泉地が点在しています。その中でも熱海や伊東が人気で毎年多くの観光客が訪れます。

静岡県には空港がないので、遠方から静岡県に訪れる手段としては新幹線が一般的です。将来的にはリニアモーターカーが停車する可能性もありますが、そこから観光地を公共交通機関で巡る場合は、電車やバスを利用することになります。交通網が充実しているとも言い難いのでレンタカーを利用も検討する必要があります。

静岡県の市町村

静岡県には35の市町村があります。そのうち市は23(浜松市、磐田市、掛川市、袋井市、湖西市、御前崎市、菊川市、静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、沼津市、熱海市、三島市、富士宮市、富士市、裾野市、御殿場市、伊東市、伊豆市、伊豆の国市、下田市)あります。

静岡県のご当地グルメ

静岡県には美味しい食べ物がたくさんあります。その一部をご紹介いたします。

浜松餃子

浜松餃子の特徴としてまず挙げられるのは、キャベツがふんだんに使われているということです。そして、餃子を円盤状に並べて焼き上げる「円盤焼き」が特徴です。さらに円盤焼きの中心にはもやしが添えられています。

うなぎパイ

静岡県のお土産の定番といえばうなぎパイです。静岡県はうなぎの産地として有名で、うなぎのエキスをパイ生地に練り込んで作られているのが特徴です。春華堂という店舗で製造されています。

富士宮焼きそば

静岡県のB級グルメといえば富士宮焼きそばです。麺を蒸してから急速に冷やして油でコーティングするなど通常の焼きそばとは違った調理工夫がされています。そのため麺に独特のコシが生まれます。

写真提供:静岡県観光協会

ライドシェアとは

ライドシェアは自動車のシェアリング方法の1つです。ライドシェアは文字通り、Ride(乗る)をShare(共有)することを意味します。いわば「相乗り」と同じ意味です。一般的に「相乗り」というと、タクシーを利用する際に行き先が近い客同士がタクシーをシェアすることを思い浮かべると思いますが、最近流行りのライドシェアは、タクシーだけではなく一般の個人ドライバーとドライブをシェアすることも指します。

ライドシェアは、より多くの人が1台の車両を使って移動することで、燃料費、高速料金、運転のストレスなど、人々の移動コストを削減します。相乗りは、移動を共有することで大気汚染、二酸化炭素排出量、道路の渋滞、駐車スペースの必要性が軽減されるため、より環境に優しくなる側面もあります。

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日本型ライドシェアが2024年4月より運行開始

2023年12⽉20⽇に第3回デジタル⾏財政改⾰会議が実施されました。交通分野の成果の一つに、タクシー・ドライバーの確保のための規制緩和、地域の⾃家⽤⾞・ドライバー活⽤によるライドシェア(タクシー事業者の運⾏管理下での新たな仕組みの創設)、⾃家⽤有償旅客運送制度の改善、タクシー事業者以外の者が⾏うライドシェア事業に係る法律制度についての方針が決まりました。

対策方針

  • タクシー・ドライバー確保のための規制緩和(二種免許有無の緩和、地理試験の廃⽌など)
  • 供給を補うため地域の⾃家⽤⾞や⼀般ドライバーを活かしたライドシェアサービスを2024年4⽉から開始予定。タクシー事業者の運⾏管理の下で仕組化
  • ⾃家⽤有償旅客運送制度を2023年内から改善
  • タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を⾏うことを位置付ける法律制度について、2024年6⽉に向けて議論
  • 供給量増加に向けて、自動運転技術の活用を検討。⾃動運転レベル4の社会実装・事業化に必要な初期投資⽀援の予算措置を開始
  • ⾃動⾛⾏⾞両のルールの在り⽅を検討する場を2023年12⽉に設置
  • ⾃動運転の⾛⾏に係る審査に必要な⼿続きの透明性・公平性の確保策を検討するための関係省庁の枠組みを構築

なお、2024年4月8日より東京都で日本型ライドシェアの運行が開始されています。

静岡県のライドシェア検討状況

日本型ライドシェアの運行

2024年4月時点で、静岡県では日本型ライドシェアの運行は行われておりません。

日本型ライドシェアの運行申請について

2024年3月29日の国土交通省の発表によると、政府の調査対象外エリアのライドシェアについては「簡便な方法により不足車両数を算出し、タクシー事業者に実施意向がある場合は、4月以降順次開始して良い」と記されています。簡便な算出方法とは、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌 5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域 内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」のような調査結果報告のことを指すようです。

上記に限らず、営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみなし、タクシー不足分を補うライドシェアの運行本数が決まるようです。ただし地域によっては適用外となる場合もあるので注意が必要です。

運輸局への申請については国土交通省のホームページに申請書が公開されました。必要事項を記入のうえ受理された場合に、該当エリアでのライドシェア運行が許可されます。なお、申請手続きは「ライドシェア事業を実施しようとする法人タクシー事業者が行う」とされています。

現時点でライドシェア事業を運行するためには、自治体の調査とタクシー事業者の協力が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。

静岡県は政府の調査対象エリア外に該当します。よって、上記の申請を行い、承認が下り次第県内でのライドシェア運行を開始することができます。

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自治体の取り組み

静岡県は静岡市のような都心部もあれば、地方に出ると自然豊かな場所がたくさんあります。そのため地方で暮らす際には車の利用が必要不可欠です。近年では、利便性を求めて人口が地方から都心部に集中する事象が発生しています。人口が流出してしまうと過疎化が進み、自治体の予算も逼迫することから公共事業の運営が厳しくなります。すると、公共交通にも影響を及ぼし、路線バスの運行終了など地域住民の移動手段がなくなってしまうこともあります。そのような状態を打開するために、各自治体ではさまざまな取り組みを行っております。いくつか事例をご紹介いたします。

浜松市:ライドシェア「ノッカル庄内」

人口減少、少子高齢化等を背景とした路線バスの撤退等により、庄内地区では公共交通空白地が顕在化していました。課題解決に向けて地域バスの導入を検討してきましたが、多くの地域で利用率の向上が課題となっていることから、持続可能な地域交通のあり方の検討が必要となっていました。

他県の地域で取組が始まっていたライドシェア試験は、地域内のコミュニケーションやつながりの強化、地域の活性化を目的として運用されています。庄内地区が目指す共助型社会の構築に寄与することが同様に期待されることから「ノッカル庄内」が始まりました。

利用料金は300円~1,200円(※距離によって変動)とタクシーと比較するとリーズナブルです。利用対象者は庄内地区に居住する18歳以上の方に限定されています。予約方法は、アプリまたは、電話にて行います。※前日までの事前予約制

磐田市:デマンドタクシー「お助け号」

磐田市では、日常生活の移動手段の提供を目的にデマンドタクシー「お助け号」の運行が行われています。磐田市を8つの路線に分け、それぞれの時間帯でデマンドタクシーが運行されています。運行地域に住んでいる人であればどなたも利用することができます。ただし、磐田駅周辺エリアは65歳以上または障害のある方に限定されています。

利用の際は自宅から乗ることができ、指定の乗降場所まで移動することができます。予約は電話予約のみ受け付けています。詳しくは磐田市のホームページをご覧ください。

なぜ、デマンドタクシーの運行が必要だったのでしょうか。背景には路線バスの撤退があるようです。路線バスの撤退によって車が利用できない方の移動手段に課題がありました。その課題を解決手段として導入されたようです。2022年では年間4万人の乗車があり、利用は年々増加傾向にあります。取り組みを始めて一定の成果が得られていると言えるでしょう。

富士市:デマンドタクシー

富士市でも、デマンドタクシーが路線を10に分割して運行しています。利用対象者はその地域の住民となりますが、運賃や運行時間帯は路線によって異なるため注意が必要です。利用の際は自宅から乗ることができ、指定の乗降場所まで移動することができます。予約は電話予約のみ受け付けています。詳しい情報は富士市のホームページをご覧ください。

こちらも磐田市と同様に車が利用できない方の移動手段提供を目的とした取り組みと思われます。

沼津市:デマンドタクシー「ふじみgo!」

沼津市の戸田・井田地区と西浦江梨地区を結ぶ交通手段としてデマンドタクシー「ふじみgo!」が運行しています。車両はジャンボタクシーの最大8人乗りで移動します。場合によっては4人乗りの場合もあります。利用するためには事前予約が必要です。予約は電話予約のみ受け付けています。どなたでも利用できますが、沼津市民の場合は運賃の割引が適用されます。詳しい情報は沼津市のホームページをご覧ください。

こちらは路線バスの代替手段として運行されています。運行時間は決められていますが、事前予約によって乗車人数と乗降場所が事前に把握できるため、利用者は移動時間、運営側は運用コスト面の効率化が図れます。

NearMe(ニアミー)を利用したライドシェア

NearMeは乗車地から空港へ移動するためのタクシーをライドシェアすることができるサービスです。※政府が推進している「日本型ライドシェア」とは異なります。

NearMe Airport:エアポートシャトル

最大9名まで乗ることができるライドシェア(相乗り)サービスです。乗車地から目的地(空港)までのルートをAIで分析し、利用者をピックアップするルートの最適化を行い、目的地に向かいます。
ドライバーはNearMeが提携している運行事業者が行います。

NearMe Limo:エアポート貸切リモ

最大9名まで乗ることができる貸切ハイヤー・タクシー配車サービスです。NearMe Airportとは異なり、荷物の追加料金は発生しません。乗車48時間前まではキャンセル無料です。ドライバーはNearMeが提携している運行事業者が行います。

静岡県でNearMeを利用する

富士山静岡空港への行き来にNearMeを利用することができます。サービスはNearMe Limoを利用することができます。対象エリアは藤枝市、静岡市です。

参考までに、1週間後に大人2人子供2人で富士山静岡空港から静岡駅まで利用する場合の価格がどうなるのか見てみましょう。

料金は12400円となりました。この料金には早割(7日前予約)が適用された金額です。大人2人子供2人を単純に4人で移動したと考えると、一人当たりシェア乗りが3000円程度で目的地にたどり着くことができそうです。

気になる方はこちらからアプリをダウンロードしてみてください。[Sponsored]

静岡県で利用できるタクシー配車アプリ

最後に、静岡県で利用できるタクシー配車アプリについても抑えておきましょう。

Uber Taxi(ウーバータクシー)

グローバルでライドシェアサービスを展開しているUberでは、日本でUber Taxiのサービスを展開しています。

しかし、2024年5月時点で静岡県のUber Taxiのサービス展開は行われておりません。最新の情報はUberにて確認してください。

Go

GO(ゴー)は、約10万台のタクシーをネットワークするGOが2020年9月よりスタートしたタクシーアプリです。現在2,000万ダウンロードを突破しています。

静岡県は、沼津市、三島市、伊豆の国市、熱海市、伊東市、下田市、伊豆市、静岡市 ※、島田市、焼津市、藤枝市、御前崎市、牧之原市、浜松市 ※、磐田市 ※、掛川市、袋井市 ※、菊川市、湖西市、御殿場市、富士市、富士宮市、賀茂郡東伊豆町、賀茂郡河津町、賀茂郡南伊豆町、賀茂郡松崎町、賀茂郡西伊豆町、田方郡函南町、榛原郡吉田町 ※、榛原郡川根本町 ※、周智郡森町 ※、駿東郡清水町、駿東郡長泉町、駿東郡小山町が対象エリアです。(※一部地域を除く)

現在、乗るたび500円クーポンがもらえる、「GOする!キャンペーン」の実施期間中です。初めて「GO」アプリにご登録、かつ対象エリアで利用すると、3ヶ月連続で乗車するたびに500円クーポンを月間3回まで受け取ることができます。クーポン利用には条件がありますので、詳細はキャンペーンクーポンご利用条件をご確認ください。


まとめ

いかがでしたか?2024年4月時点で静岡県では日本型ライドシェアの運行はされておりませんでした。しかし、過疎地域など地域住民の移動手段に課題を抱えている自治体はライドシェアの実施やデマンドタクシーの運行などで解決を図っている状況が確認できました。

そして、2024年4月から「簡便な方法により不足車両数を算出し、タクシー事業者に実施意向がある場合は、4月以降順次開始して良い」と国土交通省から発表がありました。静岡県で日本型ライドシェア事業を運行するためには、静岡県の自治体の調査とタクシー事業者の協力・申請が必要になります。ラストワンマイルの移動手段不足の課題解決にライドシェアが貢献するかどうか、注目していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。他の記事もぜひご覧ください!

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