茨城県で日本型ライドシェアサービスやデマンドタクシーは利用できるのか

観光需要が増えてきた昨今、タクシー等を活用したラストワンマイルのニーズが高まり供給不足に陥っているというニュースを見かけることが多くなりました。国内外から訪れた人をスムーズに目的地に誘導できなければ観光産業の機会損失につながります。

この問題には国も積極的な動きを見せて解決を試みています。その中で出てきた解決策の一つがライドシェアです。

本記事では、茨城県で日本型ライドシェアが利用可能かどうかについてと、各自治体が取り組んでいるデマンドタクシーの情報をご紹介いたします。

茨城県について

茨城県は、日本の関東地方に位置します。県庁所在地は水戸市で人口は約280万人です。れんこん、メロンなどの農産物の収穫量が全国1位と言われています。

茨城県は交通インフラが発達しており、東京方面、東北方面、栃木・群馬方面と、どの方面にも高速道路を利用して向かうことができます。また、茨城県内の公共交通も活発で、鉄道やバスなどの利用促進活動を通年で実施しています。特に常磐線やつくばエクスプレスは利用者数が多く、沿線各地の交通インフラとして重宝されています。ただし、地域によっては公共交通の利用が難しい場所もあるので、観光での移動は車が便利な場所もあります。

茨城県の市町村

茨城県には44の市町村があります。そのうち市は32(水戸市、日立市 、土浦市 、古河市 、石岡市 、結城市 、龍ケ崎市 、下妻市 、常総市 、常陸太田市 、高萩市 、北茨城市 、笠間市 、取手市 、牛久市 、つくば市 、ひたちなか市 、鹿嶋市 、潮来市 、守谷市 、常陸大宮市 、那珂市 、筑西市 、坂東市 、稲敷市 、かすみがうら市 、桜川市 、神栖市 、行方市 、鉾田市 、つくばみらい市 、小美玉市)あります。

茨城県のご当地グルメ

茨城県は美味しいグルメがたくさんあります。おすすめをいくつかご紹介します。

けんちんそば

具だくさんのけんちん汁にそばをつけて食べる茨城県北地域の郷土料理です。具沢山で歯応えのいい野菜と共に美味しい蕎麦をいただきます。

スタミナラーメン

水戸市で誕生した水戸スタミナラーメンは、醤油味の甘辛あんと太麺が特徴です。カボチャやレバーなど多種の食材を炒めてから甘辛の餡で混ぜます。

水戸納豆

茨城の代表的な食べ物の一つといえば納豆です。小粒な納豆が米に絡みやすくご飯のお供に最適です。

ライドシェアとは

ライドシェアは自動車のシェアリング方法の1つです。ライドシェアは文字通り、Ride(乗る)をShare(共有)することを意味します。いわば「相乗り」と同じ意味です。一般的に「相乗り」というと、タクシーを利用する際に行き先が近い客同士がタクシーをシェアすることを思い浮かべると思いますが、最近流行りのライドシェアは、タクシーだけではなく一般の個人ドライバーとドライブをシェアすることも指します。

ライドシェアは、より多くの人が1台の車両を使って移動することで、燃料費、高速料金、運転のストレスなど、人々の移動コストを削減します。相乗りは、移動を共有することで大気汚染、二酸化炭素排出量、道路の渋滞、駐車スペースの必要性が軽減されるため、より環境に優しくなる側面もあります。

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日本型ライドシェアが2024年4月より運行開始

2023年12⽉20⽇に第3回デジタル⾏財政改⾰会議が実施されました。交通分野の成果の一つに、タクシー・ドライバーの確保のための規制緩和、地域の⾃家⽤⾞・ドライバー活⽤によるライドシェア(タクシー事業者の運⾏管理下での新たな仕組みの創設)、⾃家⽤有償旅客運送制度の改善、タクシー事業者以外の者が⾏うライドシェア事業に係る法律制度についての方針が決まりました。

対策方針

  • タクシー・ドライバー確保のための規制緩和(二種免許有無の緩和、地理試験の廃⽌など)
  • 供給を補うため地域の⾃家⽤⾞や⼀般ドライバーを活かしたライドシェアサービスを2024年4⽉から開始予定。タクシー事業者の運⾏管理の下で仕組化
  • ⾃家⽤有償旅客運送制度を2023年内から改善
  • タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を⾏うことを位置付ける法律制度について、2024年6⽉に向けて議論
  • 供給量増加に向けて、自動運転技術の活用を検討。⾃動運転レベル4の社会実装・事業化に必要な初期投資⽀援の予算措置を開始
  • ⾃動⾛⾏⾞両のルールの在り⽅を検討する場を2023年12⽉に設置
  • ⾃動運転の⾛⾏に係る審査に必要な⼿続きの透明性・公平性の確保策を検討するための関係省庁の枠組みを構築

なお、2024年4月8日より東京都で日本型ライドシェアの運行が開始されています。

茨城県のライドシェア検討状況

日本型ライドシェアの運行

2024年4月時点で、茨城県では日本型ライドシェアの運行は行われておりません。

日本型ライドシェアの運行申請について

2024年3月29日の国土交通省の発表によると、政府の調査対象外エリアのライドシェアについては「簡便な方法により不足車両数を算出し、タクシー事業者に実施意向がある場合は、4月以降順次開始して良い」と記されています。簡便な算出方法とは、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌 5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域 内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」のような調査結果報告のことを指すようです。

上記に限らず、営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみなし、タクシー不足分を補うライドシェアの運行本数が決まるようです。ただし地域によっては適用外となる場合もあるので注意が必要です。

運輸局への申請については国土交通省のホームページに申請書が公開されました。必要事項を記入のうえ受理された場合に、該当エリアでのライドシェア運行が許可されます。なお、申請手続きは「ライドシェア事業を実施しようとする法人タクシー事業者が行う」とされています。

現時点でライドシェア事業を運行するためには、自治体の調査とタクシー事業者の協力が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。

茨城県は政府の調査対象エリア外に該当します。よって、上記の申請を行い、承認が下り次第県内でのライドシェア運行を開始することができます。

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自治体の取り組み

茨城県は自然豊かな場所がたくさんあります。そのため、車の利用が必要不可欠な地域が多く存在します。近年では、利便性を求めて人口が地方から都心部に集中する事象が発生しています。人口が流出してしまうと過疎化が進み、自治体の予算も逼迫することから公共事業の運営が厳しくなります。すると、公共交通にも影響を及ぼし、路線バスの運行終了など地域住民の移動手段がなくなってしまうこともあります。そのような状態を打開するために、各自治体ではさまざまな取り組みを行っております。いくつか事例をご紹介いたします。

茨城町:デマンドタクシー「ひぬま~る」

茨城町では高齢者や運転免許証を自主返納した方の交通手段の確保を目的として、デマンドタクシー「ひぬま〜る」の運行が行われています。利用対象者は、町内在住の高齢者や運転が困難な方が対象となります。運行時間が指定されており、一日8便が運行されています。利用する場合は事前に予約を行い、自宅から指定の乗降場所まで移動することができます。予約は電話予約のみ受け付けています。詳細は茨城町のホームページをご覧ください。

1日の利用回数は原則2回と指定されています。ですので、1日1往復です。この回数で利用者が満足しているかどうか気になるところです。また、土日が運休している点も、利用者のスムーズな移動を実現できているかという点で少し気になりました。今後サービスは改善していくと考えられるので、利用者の声を踏襲した素晴らしいサービスになることを期待します。

阿見町:デマンドタクシー「あみまるくん」

阿見町では、車の運転が困難な人が公共交通機関までの距離や施設までの移動手段が不足している問題を抱えていました。その解決策としてデマンドタクシー『あみまるくん』を運行しています。利用対象者は町内在住の方になります。利用する場合は事前に予約を行い、自宅や指定の場所から目的地まで移動することができます。予約は電話予約のみ受け付けています。詳細は阿見町のホームページをご覧ください。車両はワゴン型車両2台とミニバン型車両1台の計3台で運行しています。

2023年3月末で登録者数は3,736人です。阿見町の人口が4.9万人なので10%弱の町民が登録している状況です。65歳以上の割合が人口の28%なので、もう少し伸びしろはありそうです。車両が少ない、運行時間がフレキシブルに指定できない、など利用者の不満を改善すれば、サービス成長の余地はありそうです。

鹿嶋市:デマンドタクシー

鹿嶋市でもデマンドタクシーの運行が行われています。利用対象者は鹿嶋市在住の方はどなたでも利用できます。利用する場合は事前に予約を行い、自宅から指定の乗降場所まで移動することができます。予約は電話予約のみ受け付けています。1日15便運行しています。詳細は鹿嶋市のホームページをご覧ください。

運賃が500円と他の自治体と比較すると高い印象がありました。また、利用初回登録にも1000円かかります。デマンドタクシー導入の目的がわかりませんでしたが、一人当たりの利用コストから、地域の移動に関する課題を解決するというよりビジネス的な側面の方が強いのかも、と想像しました。果たしてどのような利用率で、利用者の満足度はどのくらいなのか気になるところです。

茨城県で利用できるタクシー配車アプリ

最後に、茨城県で利用できるタクシー配車アプリについても抑えておきましょう。

Uber Taxi(ウーバータクシー)

グローバルでライドシェアサービスを展開しているUberでは、日本でUber Taxiのサービスを展開しています。

しかし、2024年5月時点で茨城県はUber Taxiのサービスを利用することができません。最新の情報はUberにて確認してください。

Go

GO(ゴー)は、約10万台のタクシーをネットワークするGOが2020年9月よりスタートしたタクシーアプリです。現在2,000万ダウンロードを突破しています。

茨城県は、水戸市、日立市、土浦市、石岡市、龍ケ崎市、常陸太田市、高荻市、北茨城市、笠間市、取手市、牛久市、つくば市、ひたちなか市、守谷市、常陸大宮市、那珂市、稲敷市、かすみがうら市、筑西市、つくばみらい市、小美玉市、古河市、坂東市、下妻市、常総市、結城市、桜川市、鹿嶋市、神栖市、潮来市、行方市、鉾田市、東茨城郡大洗町、東茨城郡茨城町、東茨城郡城里町、那珂郡東海村、久慈郡大子町、稲敷郡美浦村、稲敷郡阿見町、稲敷郡河内町、北相馬郡利根町、結城郡八千代町、猿島郡五霞町、猿島郡境町が対象エリアです。(※一部地域を除く)

現在、乗るたび500円クーポンがもらえる、「GOする!キャンペーン」の実施期間中です。初めて「GO」アプリにご登録、かつ対象エリアで利用すると、3ヶ月連続で乗車するたびに500円クーポンを月間3回まで受け取ることができます。クーポン利用には条件がありますので、詳細はキャンペーンクーポンご利用条件をご確認ください。


まとめ

いかがでしたか?2024年4月時点で茨城県では日本型ライドシェアの運行はされておりませんでした。しかし、過疎地域など地域住民の移動手段に課題を抱えている自治体はデマンドタクシーの運行などで解決を図っている状況が確認できました。

そして、2024年4月から「簡便な方法により不足車両数を算出し、タクシー事業者に実施意向がある場合は、4月以降順次開始して良い」と国土交通省から発表がありました。茨城県で日本型ライドシェア事業を運行するためには、茨城県の自治体の調査とタクシー事業者の協力・申請が必要になります。ラストワンマイルの移動手段不足の課題解決にライドシェアが貢献するかどうか、注目していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。他の記事もぜひご覧ください!

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