神奈川県箱根町が公表した「令和4年入込観光客総評」によると、入込観光客数は前年度比128.6%増の1,736万人にまで上ることがわかりました。数字からもわかる通り、箱根町の観光ニーズは高いといえます。そして、令和5年は約2,000万人と増えています。また海外観光客の割合も増えており、令和6年はさらに観光客が増える見込みとなっています。
しかし、自治体が想定している以上に観光客が増えている可能性もあります。その背景として、観光地の許容を超えた混雑、公共交通機関での移動困難、観光客によるゴミの不法投棄などいわゆるオーバーツーリズムが発生しています。
こうした問題は発生しているものの、やはり観光地として魅力的な箱根です。現在の状況も考慮した上で、箱根観光を日帰りで楽しむための移動手段に触れながら、車移動じゃないときついかどうかについてこの記事ではご紹介します。
神奈川県箱根町について
まずは、神奈川県箱根町の概要を抑えておきましょう。
箱根町は神奈川県の南西部に位置し、東京から約80kmに距離にあります。人口は約1万人ほどです。気候は比較的雨が多い地域に分類されます。夏は涼しく避暑地としても有名です。また、冬は雪も降るので車で旅行を計画する場合は注意が必要です。
古くから日本国内では温泉町として有名です。また江戸時代には箱根関が置かれた地で、重要な役割を担っていました。そのため歴史的な観光スポットも多く存在します。
年明けの1月2、3日に行われる東京箱根間往復大学駅伝競走は長い歴史を持ち、日本の元旦の風物詩になっています。そのため、年始から多くの箱根駅伝ファンがこの地を訪れます。
観光スポット
それでは、箱根エリアの観光スポットを見てみましょう。距離感がわかるように、箱根湯本駅からの距離と最寄駅からの距離も記載するので旅行計画の参考にしてください。
美術館
箱根には美術館が多数あります。ここではその一部をご紹介いたします。
箱根ガラスの森
箱根ガラスの森美術館は、日本初のヴェネチアングラス専門の美術館です。16世紀に制作された歴史あるヴェネチアングラスが展示されているほか、近年注目されている現代アート作家によるヴェネチアングラスも展示されています。
箱根ガラスの森はヴェネチアングラスの展示だけではなく、庭園もぜひ足を運んでみてください。「光の回廊」と呼ばれる、高さ約9m、全長約10m、約16万粒のクリスタルガラスのアーチを見ることができます。このような野外展示作品も庭園にいくつかあるほか、飼育されているマガモも大人気です。6月〜7月には紫陽花が庭園を彩り、5月下旬〜10月下旬はバラも見頃です。この辺りも旅行計画の参考にしてください。
なお、箱根湯本駅からは約12km、路線バスで約25分の距離です。箱根ガラスの森に関する最新情報はこちらをご覧ください。
ポーラ美術館
ポーラ美術館は2002年に箱根に誕生した美術館です。モネ、ピカソ、ゴッホなどの世界的に有名な画家の作品を含め約10,000点が展示されています。時期によって様々な企画展が行われているのも特徴です。
ポーラ美術館は自然と美術の共生をコンセプトにしています。森の遊歩道という全長約1kmの遊歩道の中にたくさんの彫刻作品が並んでおり、都会の美術館では体験できない美術鑑賞ができます。そのほか、美術講演会やワークショップ、子供向けのイベントなどのコンテンツも用意されており、様々な楽しみ方もできます。
なお、箱根湯本駅からは約12.4km、路線バスで約25分の距離です。ポーラ美術館に関する最新情報はこちらをご覧ください。
箱根彫刻の森美術館
箱根彫刻の森美術館は1969年に開館した歴史ある美術館です。フジサンケイグループが所有しています。美術と自然が融合した美術館となっており、屋外にも多数の彫刻作品が展示されています。作品収集は近・現代の彫刻を中心にする一方、主に1970年代以降の絵画も集め、現在の所蔵数は2,000点あまりになっています。
野外展示作品は、広大な敷地の中にロダン、ブールデル、ムーアといった世界的な巨匠の彫刻作品など約120点を見ることができます。次に注目の施設の1つとしてピカソ館をご紹介します。ピカソコレクションが順次展示されており、展示総数が116点とこちらも見応え十分です。本館では名作コレクションの展示が約2000点あります。そのほか、無垢材を使った休憩スペースや、巨大像が展示されているマルチホールも見応えがあります。
彫刻の森美術館はお子様向けのコンテンツも充実しています。体験型アート作品「ネットの森」は有り余る子供のパワーを発散させる遊び場に適しています。ベビーカーの貸し出しや授乳室も完備しています。
なお、箱根湯本駅からは約8.7km、路線バスで約25分の距離です。箱根彫刻の森美術館の最新情報はこちらをご覧ください。
自然
箱根町は箱根山を中心とする連山に囲まれ魅力的な自然に囲まれています。ここでは観光名所となっている一部をご紹介いたします。
芦ノ湖
芦ノ湖は、箱根火山のカルデラの中にある「カルデラ湖」で、周囲約20kmの細長い湖です。南岸の杉並木街道から眺める「逆さ富士」は、箱根の絶景の一つに数えられています。虹マス、ブラックバス、わかさぎ等が生息しており、釣りを楽し無事もできます。
芦ノ湖には、箱根海賊船の運行が行われています。桃源台港から箱根町港・元箱根港を約25〜40分で結ぶ海賊船。湖上から見える箱根の景観は実に美しいです。船の種類も3種類あり、それぞれ違った楽しみ方ができるようになっています。お子様から大人まで楽しめる空間です。芦ノ湖周辺の観光スポットを巡る方は利用すると良いでしょう。
なお、箱根湯本駅からは約15.1km、路線バスで約35分の距離です。芦ノ湖観光の最新情報はこちらをご覧ください。
大涌谷
大涌谷は、箱根火山最後の水蒸気爆発をおこした爆裂火口で、いまも噴気が立ち昇る箱根の代表的ビュースポットです。大涌谷温泉で茹でた「黒たまご」が名物で、食べると寿命が延びると言われています。
かつては噴煙地付近まで入場することができましたが、2016年9月以降一般入場することができなくなっております。現在は大涌谷自然研究路として、1日4回、1回30人限定の予約制にて入場することができます。箱根ロープウェイから見た大涌谷の景色も絶景なので、こちらもお勧めです。
なお、箱根湯本駅からは約15km、路線バスで約35分の距離です。大涌谷の最新情報はこちらをご覧ください。
箱根温泉
箱根温泉は、箱根町にある温泉の総称です。箱根温泉には箱根二十湯と呼ばれる各所の温泉が存在します。ここでは代表的な温泉を一部をご紹介します。
- 箱根湯本温泉
- 塔之沢温泉
- 宮ノ下温泉
- 底倉温泉
- 堂ヶ島温泉
- 木賀温泉
- 芦之湯温泉
各温泉地は点在しているため、一度の旅行ですべての温泉を制覇することは、かなりの時間が必要なので難しいかもしれません。複数の温泉地を巡りたい場合は予め移動プランを作ることをお勧めします。
歴史・神社など
箱根神社
箱根神社は、関東総鎮守箱根大権現と尊崇されてきた名社で、開運厄除・心願成就・交通安全・縁結びに御神徳の高い、運開きの神様として信仰されています。また歴史においては、北条泰時が制定した『御成敗式目』にて、箱根神社は祈誓を捧げる神々の筆頭に挙げられ日本第一の起請の社と記されており、当時から幕府の祈願所として重宝されてきました。
ロケーションは芦ノ湖から近いため、旅行を計画する際は芦ノ湖巡りに合わせて訪れると良いでしょう。箱根湯本駅からは約17.2km、路線バスで約35分の距離です。箱根神社の最新情報はこちらをご覧ください。
箱根関所
江戸時代交通史の重要な遺跡が、箱根関所です。当時の関所はすでになくなっており、発掘調査の結果や発見された書物を参考に当時の匠の技や道具を使って再現されました。
ロケーションは芦ノ湖から近いため、旅行を計画する際は芦ノ湖巡りに合わせて訪れると良いでしょう。箱根湯本駅からは約15km、路線バスで約35分の距離です。箱根関所の最新情報はこちらをご覧ください。
その他の観光に関する情報は箱根町観光協会のサイトをご覧ください。
グルメ
観光地の箱根には美味しいグルメも多数あります。ここではその一部をご紹介します。
そば
箱根エリアは山に囲まれているため、湧き水に恵まれています。そのためそばの名店も多く、各店舗が10割そばや自然薯を混ぜた蕎麦などこだわりを見せています。気になる店舗を見つけてぜひ足を運んでみてください。
温泉まんじゅう
箱根の温泉まんじゅうはお土産の定番です。温泉まんじゅうといっても各和菓子店ごとに特徴のある温泉まんじゅうを提供しています。人気の温泉まんじゅうは早々に売り切れてしまう事もあるので、購入を検討している場合は、あまり遅い時間に購入しないよう計画的に観光すると良いでしょう。
各観光スポットの場所と公共交通機関
前述した通り箱根エリアは観光スポットがたくさんあります。しかし、観光スポットが点在しているため、どうやって移動するかで旅行の計画が大きく異なります。かってにライドシェア委員会が勝手にお勧めする日帰り旅行計画は「美術館+大涌谷+周辺の温泉コース」と「芦ノ湖周辺+周辺の温泉コース」です。ただし、公共交通機関を利用する場合は十分に注意する必要があります。代表的な3つの公共交通手段を見てみましょう。
まず、バスを利用する場合ですが、1時間に4本程度の運行となっています。そのため、移動するタイミングがかなり限られるため、時間を気にして旅行を楽しまなければなりません。箱根湯本駅から出ているバスの運行時間帯と料金はこちらをご覧ください。
次に箱根登山ケーブルカーを利用する場合ですが、箱根湯本から終点早雲山まで1時間に4本程度運行されています。箱根湯本から早雲山まで所要時間は45分かかります。詳しい情報はこちらをご覧ください。
最後に、箱根ロープウェイを利用する場合ですが、約1分間隔で運行されているものの、一駅15分程度の移動時間がかかります。早雲山から芦ノ湖(桃源台)まで1時間かかります。詳しい情報はこちらをご覧ください。
箱根エリアの観光を満喫するためには、移動時間を気にしながら様々な乗り物を利用しながら目的地を目指さなければいけません。料金が割安というメリットはあるものの、時間を有効活用する観点ではあまりお勧めはできません。
箱根の日帰り旅行はカーシェア、レンタカー、タクシーがおすすめ
前述の通り、時間を効率よく使いたい場合は公共交通機関のみで移動するのは大変です。日帰り旅行となると、より1分1秒を満喫したくなります。となると、おすすめの移動手段は車を使った移動になります。自家用車はもちろん、車を保有していない方は、レンタカー、カーシェア、タクシーを利用すると良いでしょう。
箱根エリアのレンタカー、カーシェアについて
2024年4月時点では、レンタカーは箱根湯本に2店舗、強羅に1店舗ありました。店舗が少ないため、現地の予約はなかなか取れない可能性があります。そのため、レンタカーを利用する場合は、小田原など少し離れたエリアで利用すると良いでしょう。
カーシェアも同様で、箱根エリアのステーション数が少ないため、現地で利用しようとしてもなかなか予約が取れない可能性があります。よって、レンタカー同様に小田原などの離れたエリアで利用するのが良さそうです。
箱根エリアのタクシーについて
箱根エリアを中心にタクシー事業を行っている企業は、箱根モビリティサービスや株式会社箱根タクシーなどがあります。タクシーを利用する場合は直接これらの企業に問い合わせて配車しても良いですが、効率的に配車を行う手段として、タクシー事業者と提携しているGoやUberなどの配車プラットフォームを活用すると良いでしょう。
しかしながら、昨今の観光ブームによってタクシーがなかなかつかまらないといった声も発生しており、観光シーズンによっては需要と供給のバランスに問題が生じている可能性があります。配車の予約は早めに行うと良いでしょう。
箱根町で日本型ライドシェア導入の期待
2024年4月からタクシー不足を解消する手段として、日本型ライドシェアが開始されました。神奈川県も4月から横浜市、川崎市で運行がスタートしておりますが、箱根町は2024年4月時点では対象外となっています。自治体の経済の発展性や観光客の満足度向上をするためには、交通インフラの整理は必須になるので、箱根町もライドシェアの導入を検討すべきでしょう。国内で同様の観光地域では、長野県の軽井沢町が上述した課題面から、4月からライドシェアの導入を開始しております。
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まとめ
いかがでしたか?箱根町は人気の観光スポットであるとともに、見どころもたくさんあるエリアです。時間に余裕がある場合は箱根ロープウェイなど公共交通機関を利用して景色を楽しむのも良いでしょう。一方日帰りなど限られた時間の中で箱根を満喫する場合は車移動がお勧めです。小さい子供がいる場合はなおのこと車でなければきついと思われます。
観光ニーズが高まってきて、レンタカーやタクシーなどの供給に問題が生じてくる可能性も十分考えられます。課題に対しては自治体が解消に向けての取り組みを実施すると思います。このような状況も踏まえて箱根町での観光を満喫してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。他の記事もぜひご覧ください!
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